障害者の一人暮らし

【体験談あり】障害者が一人暮らしをしたい理由は3つを解説します。

障害がある方にとっては親元を離れて一人で暮らすことがとても高いハードルのように感じられる方もいらっしゃるかと思います。

しかし、行政などのサポートを借りれば、そのハードルは簡単に下がっていくんです!

この記事では実際に発達障害を持ちながらも親元を離れて一人暮らしをし三年が経過した女性の実例も交えて、受けられる援助などをご紹介していきたいと思います。

障害者が一人暮らしをしたくなる理由

あなたは何故一人暮らしをしたいと思いますか? いろんな例をみながら、自分の動機を考えていざ一人暮らしする際に親を説得できるよう考えてみましょう。

親元を離れて自由に生活したいから

障害を持つ方の中には極端にパーソナルスペースが広く、人と同居することで心に負荷を生じる方もいらっしゃいます。そういった特性を持つ方は一人暮らしをして自分だけのスペースを持った方が負荷が減り、生きづらさが軽減される場合もあります。そうでなくても、自分だけの家を持つというのは非常に魅力的ですよね。

将来を考えて自立した生活をしたいから


現在はまだ金銭的にも親に頼っている状態だけれど、将来自活していくためにまずは一人暮らしから始めたい。そんな動機で一人暮らしを始める方もいらっしゃいます。

私生活で身体的援助などを必要としない障害特性をお持ちの方は、検討する余地のある動機のひとつだと思います。

恋人や友達を家に自由に呼びたいから

実家だとどうしても友人や恋人を家に呼ぶことは難しいと思います。一人暮らしならばそれが自由に行えるのは魅力的ですよね。

大切な人と過ごすことがストレス解消になる方もたくさんいらっしゃると思います。大切な人と過ごす時間を増やすために一人暮らしを検討するのも動機のひとつです。

障害者が一人暮らしを始めるうえで考えることは3つ

一人暮らしを始める上での動機が十分に固まったとします。次に出てくるのは金銭的なものであったり障害特性との付き合い方だったりと現実的な問題です。それらの壁をクリアするために一緒に検討してみましょう。

必要な初期費用を揃える。

こればかりは絶対に乗り越えなければならない壁となります。部屋を借りるにはまず敷金や礼金、不動産屋への仲介手数料や初月の家賃など、十数万程度の初期費用が必要となります。
 これらをどう工面するか。いくつか考えられる手段としてはまず、親に用意してもらう。障害年金をコツコツ貯める。預貯金を崩す。いろいろと考えられます。
 もし親が急死するなどで世帯主となってしまって生活の手段がなく現在の家の家賃が払えず引っ越しを余儀なくされるような場合は、生活保護を一時的に受給するのも手段のひとつです。生活保護で保障される家賃を大きく超えるような物件に住んでいる場合、初期費用や荷物移動費を生活保護の一環として支払ってくれます。これはお住いの地域の家賃相場や生活保護受給額などで左右されますので、まずは福祉事務所に相談してみてください。

緊急時の病院、ヘルパーなど医療制度を確認する

なんとなく引っ越し先を選んだらかかりつけの病院から住まいが遠くなってしまった。これだけは避けなければいけません。何故かというと、緊急時に病院に行くまでのハードルが上がってしまうからです。

お住まいを検討される場合は現在のかかりつけ医の近くか、もしくは家の近くで信頼できる病院を紹介してもらいましょう。障害を持つ以上は通院のしやすさは住居を検討する上で最優先ともいえるべき項目です。

また、お住いの自治体や障害特性によってはヘルパーなどの医療制度を活用できる場合があります。週に一回ヘルパーに家事を手伝ってもらうだけでも自活していくためのアドバイスがもらえたり、綺麗に部屋を掃除してもらえることで心も整頓される効果があったりとメリットが大きいです。その他にも地域定着支援など活用できる行政サービスが自治体ごとに存在しますので、まずは役所などで相談してみましょう。

障害特性に合った物件を探す

障害者だからといって入居を断られる物件はほとんどありません。

しかしながら、障害をお持ちの方が患いやすいうつ病を併発している場合、物件のオーナーに倦厭されやすい傾向があります。

万が一の場合、事故物件となりえる可能性があるからです。

なので、物件を探す場合は自分の障害や持病について正直に不動産屋に相談しましょう。

物件のオーナーへ上手く説明を通してくれたり、障害特性に合った部屋を探してくれたりします。

どの不動産屋に相談していいかわからない場合は役所の物件相談を利用しましょう。生活保護受給者や障害者など社会的弱者の物件探しに強い不動産屋を紹介してくれます。

鹿児島から上阪し一人暮らしを始めた30代アスペルガー女性

ここで実例をひとつ紹介したいと思います。

鹿児島で親と同居していたけれど大阪に引っ越して一人暮らしをはじめ、就職して現在自活三年目になった女性の話です。

鹿児島在住時、発達障害のひとつであるアスペルガー症候群を持つ女性、小百合さん(仮名)は就職しても長続きせず、親の収入で生活していました。

しかし小百合さんはパーソナルスペースが広く干渉されるのが苦手な障害特性を持っており、親との生活に息苦しさを感じ、ストレスからうつ病も患ってしまいました。

ここで小百合さんに転機が訪れます。大阪で勤務する姉から「自分の会社の特例子会社に入社してはどうか」と提案されたのです。

小百合さんにとって生まれ育った地元を離れることは抵抗がありましたが、自活できるチャンスだと姉の特例子会社の社長に会ってみることにしました。

上阪しまずは大阪で姉の家に居候しながら、小百合さんは自立のための活動をスタートさせました。まず特例子会社の社長に会ってみたところ、「うちよりもっと小百合さんの障害特性を活かせる会社があるのではないか」と提案され、大阪市職業リハビリテーションセンターへ紹介を受けました。

そこで紹介された社会福祉法人そうそうの杜からサポートを受けることが決定し、そして大阪に来て二か月目、最初の一人暮らしをそうそうの杜管理のマンションで始めることとなります。

小百合さんはそうそうの杜の手厚いサポートの元、就職先を探していくつか面接を受け、見事製薬会社の特例子会社への入社を決めます。

そして現在は、またそうそうの杜が探すのを手伝ってくれた物件にて一人暮らしをしながら、社会人として自立した生活を送っています。

現在利用している制度はヘルパーによる家事支援(週1)と、地域定着支援、計画相談支援、そして就業継続支援です。地域定着支援や計画相談支援は簡単にいうと、私生活で困ったことが起きたときに相談に乗ってくれる制度で、不安に陥りやすい障害特性を持つ小百合さんを支えています。就業継続支援は仕事上困ったことがあった時に相談に乗ってくれる制度で、正社員として働くのは初めてな 小百合さんの強い味方です。
 このように小百合さんは行政のサポートを利用して、親元から自立することに成功しました。親との同居で感じていたストレスから解放された小百合さんはヒステリックだった性格も明るくなり、うつ病も寛解状態となって、自分だけの部屋で一人暮らしを楽しんでいます。

 以上、実例も交えて障害者の一人暮らしについて紹介してみましたがいかがだったでしょうか。とにかく、一人暮らしを考えたい方は、まずは行政に相談してみることからお勧めいたします。お住いの地域によって行政サポートに差はあるものの、アドバイスやサポートが受けられることは間違いないでしょう。
 この記事が一人暮らしをしたい貴方の参考になりましたら幸いです。